生活不活発病とは
生活不活発病:負のスパイラル
外出の控え過ぎ⇒生活不活発⇒健康への影響
- 筋力低下
- 心配機能低下
- 脳機能低下
- 血行悪化
- 食べられない
- 疲れやすい
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要介護・フレイル(虚弱)
デイサービス等の休止後の変化 | |
運動不足を実感 | 7割 |
会話の減少 | 7割 |
意欲的・活動的に過ごせなくなった | 4割 |
もの忘れが気になるようになった | 2割 |
筑波大学久野研究室共同調査2020(調査対象:新潟県見附市 平均年齢70歳の647人)
外出自粛による弊害
先般、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、外出を控える動きが広がっています。またデイサービスなど通所型の介護施設への通い控えも生じています。そのことによってこれまでの規則正しい生活のリズムが崩れて、体力低下、体重増加、うつ症状など高齢者の心と身体にさまざまな弊害が出ています。
最近は自粛中、家の中で太ってしまったいわゆるコロナ太りが多いですが、高齢者の場合は太ることは必ずしも悪いことではありません。しかし動かないことが原因で太ってしまった場合は問題です。対策としては①食べたものを記録する。②毎日決まった時間に体重を計る。などが良いでしょう。
また家庭内で会話がなく、デイサービスにも行けなくなり孤独感からうつ状態になってしまう高齢者もいます。対策としては友人や知人と電話・メール・手紙などで交流を持ち続けることが大切です。
それに心配なのは高齢者の場合、家でじっとすることで別のリスクを招くことです。今まで外出していたおじいちゃん、おばあちゃんが家の中で過ごす時間が長くなると、いわゆる「生活不活発化」とも呼ばれる心身機能の低下を招く恐れがあります。
長期間、家の中でじっと過ごすと身体活動量が減り、結果、筋肉が衰えます。また血行も悪くなり、さまざまなリスクがあります。特に下肢の筋肉が落ちやすく、やがて歩きにくさを感じたり、転倒しやすくなってしまう恐れがあります。ご高齢の場合はなるべく動くことが大切です。
また会話が極端に少なくなり心理面、認知機能面への影響も心配です。「動かないと食欲がなくなり、気力も落ちる。また人と話す機会も減ると、認知機能的にもよくありません。(自粛ムードがおさまっても)以前のように外出したいと思えなくなる恐れもあります。
1日10分の運動が大切
家の中でもできる限り運動することが大切になってきます。外出自粛でダメージを受けるのはおもに脚・腰・おしりの筋肉です。できれば毎日、決まった時間に流れるラジオ体操・テレビ体操をするなど習慣化することがお勧めです。また家に居ながら頭と身体を使うお部屋の模様替えや家事などに取り組むこともとても良い運動になります。
運動は初めは1日10分が目安です。いきなり10分間運動しようとしなくても、朝3分、お昼3分、夕方に4分と分けて頂いても効果は同じです。ぜひ自分の出来る範囲で気軽に取り組んで見ましょう!
毎日の食事も大切
栄養バランスに気をつけましょう!
一人暮らしの高齢者は食事が野菜等に偏りがちでたんぱく質が不足しがちになります。たんぱく質の摂取は筋肉を作る上でとても重要で必要不可欠です。しっかりと意識してたんぱく質をとりましょう。体重60kgの人で1日60g~90gのたんぱく質が必要になります。1食でまとめて取るよりも3食平均してたんぱく質を摂取したほうが筋肉にはいいことがわかっています。
※たんぱく質60gの例
朝…牛乳1杯、卵1個
昼…豚肉のしょうが焼き2枚
夕…焼き魚1切れ
栄養バランスを整える10食品
たんぱく質 | 野菜類 |
①肉 | ⑥緑黄色野菜 |
②魚介類 | ⑦海藻類 |
③卵 | ⑧いも |
④大豆・大豆製品 | ⑨果物 |
⑤牛乳・乳製品 | ⑩油を使った料理 |
外出自粛中の食事の工夫
◆たんぱく質をとる
- 冷凍食品(ハンバ^具・焼き魚・ギョーザなど)
- 缶詰(サバ缶・ツナ缶など)
- レトルト食品(親子丼・牛丼など)
- チーズ
◆野菜をとる
- 冷凍野菜を常備(ほうれんそう・ブロッコリーなど)
- 調理した料理の冷凍保存(野菜の煮物・炒め物など)
- 根菜類を常備(じゃがいも・さつまいも・にんじん・たまねぎなど)
- 乾燥の海藻類・きのこ類を常備
最後に
継続していくコツ
コツは1日の中で1つだけ何かをする時間を決めることです。例えば12時になったらお昼ごはんを必ず食べると決めたら、お昼の準備は11時30ぐらいから始めなければいけません。それまでに洗濯物は干しておかなければなりません。逆算して洗濯機を回し始める時間は?顔を洗ったり、朝ごはんを食べたりする時間は?といったお昼ごはんの時間を決めることで1日のだいたいスケジュールが決まってきます。逆に朝から分刻みのスケジュールを決めてしまうと、そのプレッシャーに押しつぶされてすぐに挫折しやすいです。まずは食事以外でも結構ですので、ウォーキングやお風呂などの時間などなんでも良いので1つ物事を決めることで少しずつ生活のリズムが決まってきます。
以上、生活不活発病の予防には運動や社会的な活動など積極的に行いながら感染予防に気をつけて、楽しみながら継続して活動量を落とさないことが大切です。ぜひ活動的な生活を習慣化して今後の第2波、第3波に備え乗り切りましょう!