よく「ピンチはチャンス」などと言われますが、「ピンチはピンチ」にしか見えない時もあります。
常に積極思考が大事だと頭ではわかってはいますが、自分ひとりではそう簡単には悟りの境地にはたどり着けません。今、コロナ騒動を始め、さまざまな問題で苦しい環境に置かれている方もいるかもしれません。どんな人でも必ずと言って良いほど何かしら悩みや不安を抱えて生活しています。
今日は以前、私の師匠が教えてくれた詩で、苦しかったときに思い返しては自分を奮い立たせてくれた詩をご紹介します。ブラジルの詩人アデマール・デ・パロスの「浜辺の足跡」という詩です。
「浜辺の足跡」
夢をみた、クリスマスの夜
浜辺を歩いていた、主(キリスト)と並んで。
砂の上に二人の足が、二人の足跡を残していった
私のそれと、主のそれと
ふと思った、夢の中でのことだ
この一足、一足は、
私の生涯の1日1日を示していると
立ち止まって後ろを振り返った。
足跡はずっと遠くみえなくなるところまで続いている。
ところが、一つのことに気づいた。
ところどころ、二人の足跡でなく、
一人の足跡しかないことに。
私の生涯が走馬灯のように思い出された
なんという驚き、一人の足跡しかないところは
生涯でいちばん暗かった日とぴったり合う
苦悶の日
悪を望んだ日
利己主義の日
やりきれない日
自分に絶望した日
そこで主の方に向き直って、あえて文句をいった
「あなたは、日々私たちと共にいると約束されたではありませんか?
なぜ約束を守ってくださらなかったのですか。
どうして、人生の危機にあった私を一人で放っておかれたのですか、
まさにあなたの存在が必要だった時に」
ところが、主は私に答えていわれた。
「友よ、砂の上に一人の足跡しか見えない日、
それは私が君をおぶって歩いた日なのだよ」と。