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腰痛症

腰痛症とは?

腰痛症は、腰が痛くなる病気です。日常生活での思い当たる原因は重い荷物を持ち上げたから、座り仕事・立ち仕事を長時間したから、月経前・月経中だからなど様々あると思います。

 

医療機関などではよく腰痛症とひとくくりにされますが、ある特例の症状を指すわけではなく、運動時あるいは安静時に腰部に痛みを感じる疾患の総称であり、病気などの疾患名ではなく別の原因によって引き起こされた症状名とされています。

 

腰痛は、さまざまな理由によって起こります。特に多いのは、腰の骨に負担がかかることで神経を圧迫し痛みが起こるケースですが、感染や炎症、腫瘍、がん、ストレスによって腰痛が発症することも少なくありません。

 

腰部の骨(腰椎)、骨と骨の間にあるクッション(椎間板)、腰部の関節部分(椎間関節)、靭帯、筋・筋膜の障害によって痛みが生じているとされますが、正確な診断が可能なのは全腰痛患者の内10%~20%程度ともいわれています。そのため残りの80%~90%の方にはとりあえずと腰痛症という診断とされています。

 

また、原因となる疾患によって、腰の痛み方もさまざまです。腰を曲げると痛い、疲れたときだけ腰が痛む、腰からふくらはぎにかけてしびれる、突然刺すような痛みが出て動けなくなる、発熱を伴って動けなくなるなど、患者さんによって違います。


腰痛の種類

腰痛症には、急性腰痛と慢性腰痛があります。

 

急性腰痛は、いわゆるギックリ腰とよばれ、腰部椎間板の断裂、ヘルニア、腰部椎間関節症、腰椎圧迫骨折などが原因として考えられます。急性腰痛は、物を持ち上げたり、腰をひねったりした時に、突然腰痛が生じ、動けなくなる状態をいいます。

 

急性、即ち短期間の腰痛は、ふつう数日から数週間継続します。急性の腰痛はそのほとんどが機械的なものです。たとえば腰部の外傷や関節炎などの結果起こります。外傷による痛みは、スポーツ事故、家庭や庭での仕事、交通事故やその他の急激な脊椎への強い衝撃によって引き起こされます。症状は、筋肉痛程度のものから突き刺されるような痛みまで幅広く、柔軟性がなくなり動きに制限が現れ、真っすぐに立つこともできなくなることがあります。体の一部で感じられる痛みは時々、体のほかの場所の病気や外傷から「放散」されていることがあります。急性の疼痛は、そのまま放置すると重大な病状に陥ることもあります。

 

一方、慢性腰痛は原因が何であれ、その継続期間によって決まります。すなわち3カ月以上継続したとき、慢性とみなされます。慢性腰痛の原因には、腰部椎間板ヘルニア、変形性脊椎症、椎間関節症、骨粗鬆症、腰部脊柱管狭窄症、脊椎術後腰痛、などがありますが、痛みが長期におよぶことで、精神的要素も痛みを助長する原因の一つになります。慢性の腰痛症はその痛みは進行性のことが多く、原因を特定することが困難です。


生活習慣病のひとつ

誰もが一生に数回は経験する腰の痛み。治りやすいが、ぶり返しやすい。腰痛持ちの方はイライラして気分も塞ぎがちになります。しかし、腰痛の真の原因は職場環境や日常の生活習慣にひそんでいるのです。からだの使い方のコツをつかめば、腰への負担を減らし痛みを軽くすることができます。つまり、腰の痛みとうまく付き合っていくのが肝心です。

成人の役8割以上が一度は腰痛を経験する。

あるアンケートでは約80%以上の人が「腰痛を経験したことがある」と回答していますし、いわゆる「腰痛持ち」の人が約30%弱もいました。しかも、65歳以上のからだの悩みで最も多いのが腰痛です。

急性腰痛症の経過は良好、ぎっくり腰も3週間。

けれど、急な腰痛の約85%~90%は3日から1週間が痛みのピークで、あとは3週間から長くても3ヶ月以内で、動いた瞬間の痛みや弱い痛みが徐々に消えていきますから安心してください。はっきりいって約半数は放っといても治ります。

 

ただし、再発率は高く、なかなか治らないで困っている人も多いです。いったんは治ったと思う腰痛も再発率は高く、別のアンケートでは、「時々痛くなる」が約50~60%も。さらに、約1~2割の人が慢性化して、3ヶ月以上たっても「今も痛みが残っている」と答えています。

急な腰痛が起こったきっかけは、日常的な動作が40%強。

急性腰椎症(ぎっくり腰)の多くは日常的な動作がきっかけ(誘因)になります。たとえば、中腰(22.2%)・屈んだとき(13.8%)・最も頻度が多いのは重量物の挙上(43.5%)です。または、急に姿勢を変えた時・立ち続けた時など。

毎日長時間、腰に過度の負担がかかる作業姿勢も誘因になる。

常に腰によくない姿勢で続ける仕事も腰痛の誘因になります。やはり、重量物の扱いや繰り返し中腰で扱う作業。または、かがみっぱなしで腰を伸ばせない作業や座りっぱなしのデスクワークなど。

腰痛の原因で一番多いのは腰の筋肉痛です。

ある報告では、腰痛で外来に来られる患者さんは筋靭帯性腰痛症59.9%がもっとも多く、腰椎椎間関節症13.6%と合せて、いわゆる肉離れや捻挫もしくは疲労性の炎症が7割以上にあたります。

 

しかし放っとけない腰痛もあります。最初に必ず診断を受けましょう。なあんだほとんどがただの筋肉痛か、と思ってはいけません。お尻から足にかけて痛みやしびれが走る(下肢痛)場合や、どんな姿勢でも痛い、だんだんひどくなる、麻痺を伴うもの、発熱を伴うもの。つまり、神経の圧迫・骨折・腫瘍・化膿性炎症など病的な腰痛です。念のため、一度は整形外科医師の診断を受けましょう。


腰痛症の経過

(急性期)最初に必要なのすみやかな鎮痛。

さて、通常の腰痛ならば、痛みが強いのは始めの2~3日から1週間です。ここをどうしのぐかです。湿布や内服で鎮痛剤をしっかり使いましょう。数日ならば副作用の心配は少なくてすみます。処方どうりに1日2~3回飲んで、痛みが軽くなってきたら湿布だけ(貼りすぎに注意、かぶれます。)か、痛いときだけ飲むように減らしてください。

(急性期~亜急性期)  過度の安静臥床は有害、局所安静。

安静は、腰だけかばうようにすれば、動ける範囲で動いてもけっこうです。むしろ、じっとしているほうが痛いことが多いものです。局所(腰)だけひねったり、反らしすぎたりしないようにしてください。コルセットなどで固定するのも有効です。または楽な格好でリラックスするようにしてください。

(回復期)持ち上げるとき・かがむとき、一拍おいてゆっくりと。

腰痛発症から2~3週間は、日常生活ではあまり痛みがなくなります。しかしこの時期はまだ治りきっていないため、ちょっとしたことで痛みがぶり返します。寒冷・天候不順、腰に負担のかかる姿勢(特にかがんだり、ひねったり、物を持ち上げたり)を避けましょう。早い動作や疲れも大敵です。あわてず、動作の前に腰を意識して一拍間合いをいれてください。

再発・慢性化予防は生活習慣・作業環境の改善から。

腰痛は生活習慣病。自分の腰痛対処法(休憩時間・場所・姿勢など)を知り、回復期で示したような日常生活の注意を徹底し、腰痛再発予防を目指して、自分で生活管理をするのが大切です。是非職場でも工夫をしてみてください。

慢性疲労に要注意!よく働く人はよく休もう。

最後にひとつ、最近は働きすぎの慢性疲労症候群(うつ病など)がクローズアップされていますが、実は腰痛もその警告信号のひとつです(肩こりなども)。

 

腰痛でいらっしゃった患者さんの話をよくきいてみると、腰が痛くなる約1ヶ月前が非常に仕事が忙しかったり、人事異動でストレスがたまっていたり、睡眠不足の方が多い。疲労を貯めないようにしましょう。限界は突然やってきます。よく働く人はよく休んでください。


腰痛の原因

腰痛の原因には、さまざまなものがあります。一般的に多く見られるのは、腰椎椎間板ヘルニア、骨粗鬆症、坐骨神経痛という3つの疾患です。

 

急性腰痛は、強い痛みのため、腰椎の運動制限が強く、腰を前や後ろに曲げることが難しくなります。慢性腰痛は、急性腰痛に比べて激烈な痛みはないですが、腰全体の重だるい感じが持続します。

 

いずれの場合も、臀部や下肢に放散するしびれや痛みを伴うことが多くあります。急性腰痛症は不意の動作、とくにひねり動作で急に起きることが多く、慢性腰痛症は日常生活での不良姿勢による腰の筋肉の疲労などが原因です。腰椎周囲の筋力が弱く、適切な姿勢が保持できなかったり、腰椎周囲の筋肉に過度の負担がかかることが、腰痛の原因になります。

腰痛の7パターン分類

1.退行変性によるもの…椎間板ヘルニア、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症など

 

2.骨代謝異常によるもの…骨粗しょう症、骨軟化症など

 

3.外傷によるもの…腰椎圧迫骨折、横突起骨折、打撲、脊椎分離症、脊椎すべり症など

 

4.炎症によるもの…筋炎、筋膜炎、化膿性脊椎炎、結核性脊椎炎、関節リウマチなど

 

5.腫瘍によるもの…骨肉腫、軟部組織肉腫、血管腫など

 

6.静力学的要因によるもの…姿勢不良、筋肉疲労など

 

7.先天性の要因によるもの…仙椎の腰椎化、腰椎の仙骨化、奇形

このように原因の性質が大きく異なるため、筋肉の炎症を抑える湿布などを使用しても骨そのものに異常がある骨代謝異常や先天性の要因によるものには効果がありません。

 

また原因が一つでないことも多く、痛みの原因そのものと痛みによる精神的ストレス・筋肉の緊張状態や筋疲労からの血行不良、姿勢不良などの要因が重なり合って悪循環を繰り返している場合もあります。

 

この悪循環の腰痛が半年以上続くと慢性腰痛症となり、痛みを起こす動作を行わない、無意識にかばう動作を行うなどで姿勢を保つ筋肉が衰えてしまうと一朝一夕では回復が難しくなります。


原因となる病気

腰椎椎間板ヘルニア

背骨には、骨と骨の間でクッションの役割をしている椎間板という軟骨があります。この椎間板の一部が外に飛び出して、周囲の神経を圧迫し、痛みやしびれを引き起こす病気が、椎間板ヘルニアです。この症状が腰椎で起こると「腰椎椎間板ヘルニア」と呼ばれ、多くの方々の腰痛の原因になっています。

 

腰椎椎間板ヘルニアは、腰痛の原因の中でも最も重症度が高いと言われている病気です。椎間板ヘルニアは、ヘルニアの程度によって様々な症状があります。腰や足が痛くても、楽な姿勢で横になって休んでいれば1〜2週間で痛みが軽くなることもあります。

 

しかし、重症になると排尿障害、長期化すると大腿や下腿の筋萎縮を引き起こすことがあります。腰痛はいろいろな病気で起こるので、腰痛だけでは腰椎椎間板ヘルニアとはいえません。ただし、足に痺れがあるときは要注意です。

 

飛び出した椎間板は、多くの場合、片側の神経を圧迫する程度の大きさですので、しびれは片足に起こります。腰が痛くなり、片足だけにしびれを感じたら、腰椎椎間板ヘルニアの可能性があります。そういうときは、迷わず専門医を受診してください。

骨粗鬆症

骨粗鬆症は、骨の密度が低下し、骨の量が少なくなる病気です。骨粗鬆症によって骨がもろくなると、つまずいて手や肘をついた、しりもちをついた、鉢を持って移動させた、くしゃみをした…などのわずかな衝撃でも骨折してしまうことが少なくありません。

 

骨粗鬆症は、閉経期以降の女性に多く見られる病気ですが、若い人でも栄養不足や運動不足、ステロイド剤などの影響で発症することがあります。私たちが生きている間、骨は形成と破壊を繰り返しています。このバランスが崩れることによって、骨粗鬆症は起こるのです。

 

症状が進み、骨の密度が低下すると、いつの間にか骨が潰れていたり、身長が縮んでいたり、猫背になったり、少しふらついただけでも脚の付け根の骨が折れたりして、腰痛や骨折などの症状を引き起こし、生活に支障をきたします。

 

また、こうしたけがで入院をしたり、寝たきりになるなど、生活リズムが崩れてしまうと、高齢の方は一気に認知症・痴呆が進んでしまいます。日本では総人口の約10%の人が、骨粗鬆症を発症していると言われています。

坐骨神経痛

坐骨神経は、腰から足の先までつながっている、人体のなかでも最も太くて長い、何本もの神経が集まった、神経の束のようなものです。この坐骨神経が圧迫されると、その周辺にある知覚領域(痛みを感じるエリア)が刺激され、腰や足などに電気が走ったような痛みや、ピリピリしたしびれ、麻痺などを引き起こします。

 

坐骨神経痛は、腰椎椎間板ヘルニアによって起こることが多い症状ですが、中高年になると腰部脊柱管狭窄症という病気で発症するケースが多くなります。脊柱管とは、背骨の中にある通り道のようなものです。背骨を支える筋肉(靭帯)の組織は、加齢によって老化し、骨は変形していきます。その結果、脊柱管内が圧迫され、神経を刺激し、腰や足などに痛みやしびれを引き起こすのです。

 

坐骨神経痛は、軽度のうちなら、日常の姿勢や動作を見直して、ストレッチなどを習慣化することで、自分でも予防したり、改善したりすることができます。ただし、強い痛みやしびれを感じたり、腰が曲がらない、歩くのがつらい…といった症状があった場合は、重症になっている可能性が高いです。必ず受診して医師の指導を受けてください。

その他の原因

腰痛には、他にもさまざまな原因があります。背骨の骨折・ぎっくり腰などによる急性腰痛、脊椎炎・脊椎カリエスなどの炎症、がんなどの腫瘍性の疾患、胃腸・膵臓・肝臓などの内臓疾患、子宮などの婦人科の病気、ストレスによる心因性の腰痛、職業病に由来する腰痛など、数え切れないほどあり、それぞれ治療法も異なります。


「腰」のせいだけではありません

人は立位歩行(立って歩く)している以上は、腰、骨盤、膝、足関節、すべてに負担がかかってしまいます。約3kgもの重量がある頭を1日10時間以上もずっと支えているのです。腰痛の方は、腰のみが悪いのでしょうか?

 

実は、そうではありません。姿勢そのものの変化が、関節への負担を高め、「筋緊張」と呼ばれる筋肉の収縮を引き起こしたり、「不均等」と呼ばれる筋肉が偏った使われ方をする状態を招いたりして、腰に痛みやしびれを引き起こすケースが多いのです。

 

腰痛は、ほとんどの場合、日常の何気ない姿勢や動作によって引き起こされます。腰に負担をかける行動を避けることによって、椎間板ヘルニアなどの発症を防ぐことができます。ストレッチをしたり、筋力を強化したり、体重の増加を避けることも大切です。


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